糖質さえ抜けば痩せる?

ご飯茶碗を遠ざけるタクさん

ご飯もパンも麺も、きっぱりやめた。その代わり、肉やチーズはお腹いっぱい食べている。「糖質さえ抜けば、あとは何を食べても痩せる」と信じて続けている人も、いるのではないでしょうか。

けれど、糖質は太る原因の一つではあっても、唯一の原因ではありません。長い目で見ると、糖質を減らす方法と脂質を減らす方法の差は、思われているほど大きくないのです。

抜いたのは糖質、減ったのは食べる量

糖質制限で痩せる人がいるのは事実です。ただ、その大きな理由は、食事全体のエネルギーが減ることにあります。

ご飯やパン、麺、甘いもの、甘い飲み物は、ふだんの食事でエネルギーの大きな部分を占めています。これらを丸ごとやめれば、おかずを多少増やしても、1日の合計は減りやすくなります。食べられるものが限られるので、つまみ食いや間食も自然と減ります。

裏を返せば、糖質を抜いていても、脂の多い肉やチーズ、揚げ物、お酒をたっぷりとっていれば、1日の合計は減りません。そうなれば、体重もなかなか減らないのです。

1年たつと、二つの方法はほぼ互角

アメリカで、太り気味の成人約600人を、糖質を減らすグループと脂質を減らすグループに分け、1年間追いかけた研究があります。2018年に発表されたものです。どちらのグループも、野菜をしっかり食べ、砂糖や精製された穀物、加工食品を控えるよう指導されました。

カロリーを細かく数えるようには言われていませんでしたが、どちらのグループも、1日にとるエネルギーは減っていたと報告されています。

1年後の体重の減り方は、糖質を減らしたグループで平均約6.0kg、脂質を減らしたグループで約5.3kg。統計的にはっきりした差は見られませんでした。どちらのグループにも、大きく減った人もいれば、増えてしまった人もいたと報告されています。

この研究では、遺伝子のタイプやインスリンの出方から「どちらが合う人か」を見分けられるかも調べました。けれど、見分けることはできませんでした。

「抜く」より、「続けられる減らし方」

大切なのは、糖質か脂質かではなく、無理なく続けられて、結果として食べる量が減るかどうかです。ご飯が大好きな人が主食を完全にやめても、続かなければ、いずれ元に戻ってしまいます。

たとえば、ご飯を茶碗に軽めにする、甘い飲み物とお菓子を減らす、揚げ物の回数を控える。自分にとって我慢の少ないところから手をつけるのが、いちばんの近道です。主食を全部やめるのがつらければ、夜だけご飯を半分にする、という始め方もあります。

なお、糖尿病の治療中の方は、自己判断で糖質を大きく減らすと、薬との組み合わせで低血糖を起こすおそれがあります。始める前に、必ず主治医に相談してください。

参考

  • Gardner CD, Trepanowski JF, Del Gobbo LC, et al., Effect of Low-Fat vs Low-Carbohydrate Diet on 12-Month Weight Loss in Overweight Adults and the Association With Genotype Pattern or Insulin Secretion: The DIETFITS Randomized Clinical Trial, JAMA, 2018;319(7):667-679 — PubMed