「試験で体重が約1kg減少!」。グラフ付きでそう書かれていると、確かな効果がありそうに見えます。数字があるだけで、信用できる気がしてくるものです。
けれど、数字そのものは本当でも、それが「大きな効果」だとは限りません。
1kgは、1日の中で動く重さ
体重は、食べたり飲んだり、汗をかいたりするだけで、1日の中でも大きく上下します。1kgという差は、量る時間がずれただけでも出てしまう大きさです。
試験で出た数字であっても、その大きさは、ふだんの暮らしの中の揺れと変わらない程度です。広告の1kgを、体重計の上でいつも起きている揺れと並べてみる。それだけで、数字の見え方は変わります。
何週間で、何と比べての1kgか
次に見たいのは、期間です。たとえば12週間で1kgなら、仮にすべてが脂肪だったとしても、1日あたり100kcalに満たない差です。ご飯なら、茶碗半分にも届かない量です。
期間が書かれていない数字は、それだけで少し割り引いて受け止めたほうがよいでしょう。
もう一つは、比べる相手です。こうした試験では、成分の入っていない食品をとったグループと比べるのが基本です。そちらの体重も少し減っていれば、成分による差はさらに小さくなります。
それに、試験の結果は、ふつう参加した人たちの平均です。平均で1kgなら、ほとんど変わらなかった人もいれば、増えた人もいるかもしれません。
グラフの目盛りにも、目を向ける
グラフの縦の目盛りが細かく刻まれていると、わずかな差でも、線が大きく下がって見えます。数字と一緒に、目盛りの幅も確かめてみてください。
大きな効果だと受け取ると、「これさえ続ければ」と、食事を見直すきっかけを逃してしまうかもしれません。それがいちばんもったいないことです。
自分の1kgは、もっと誇っていい
見方を変えれば、食事を少し見直して1か月で1kg落とせたなら、それは広告の数字と同じか、それ以上の成果です。続けられる工夫で積み上げた1kgには、それだけの値打ちがあります。
1日の揺れや期間の長さという物差しを持っていれば、広告の数字に心を動かされすぎずに済みます。そして、自分の小さな前進を、正しく喜べるようになります。
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参考
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023』情報シート:身体活動とエネルギー・栄養素」(2024年5月)(体脂肪1kgを減らすのに必要なエネルギー量は約7,000kcal) — 厚生労働省
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(2023年4月)(ご飯のエネルギー) — 文部科学省
- 医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品の「有効性」情報の見極め方 ~信頼できる確かな情報とは~」(2021年3月)(効果を確かめるには比べる相手〈対照群〉を設けることが大切であること) — 医薬基盤・健康・栄養研究所
