「個人の感想です」と書いてあれば、体験談は信用できる?

スマホの広告の小さな文字に目を凝らすタエコさん

「3か月でマイナス8kg!」という体験談の下に、小さく「個人の感想です」の文字。正直に書いてあるのだから、この人は本当に痩せたのだろう。自分も続ければ同じようになれるはずだと、つい思ってしまいます。

けれど、体験談の結果が、自分にも同じように起こるとは限りません。

載っているのは、うまくいった人の声

広告に載る体験談は、たくさんの利用者の中から選ばれたものです。思うような結果が出なかった人の声は、ふつうは載りません。

それに、体験談を寄せた人が、その間にほかに何をしていたかは分かりません。食事を減らしたのかもしれませんし、運動を始めたのかもしれません。一人ひとりの体験は本当でも、それが「誰にでも起こること」の証拠にはならないのです。

ビフォー・アフターの写真も同じです。撮る時間帯や姿勢、服装が違えば、見た目はかなり変わります。体験談の主が、自分と同じ年代や体格とも限りません。

小さな一文では、印象は消えない

「個人の感想です」「効果には個人差があります」。こうした一文を、打消し表示と呼びます。

消費者庁が2017年に公表した報告書では、体験談に打消し表示を添えても、「多くの人に同じような効果がある」という印象は打ち消されにくいことが示されました。大きな写真や数字に比べて、小さな文字は目に留まりにくいのです。

消費者庁が示した健康食品の広告についての留意事項でも、「個人の感想です」などと書き添えたからといって、誇大な表示かどうかの判断は変わらないとされています。

探したいのは、「何人中、何人か」

体験談をそのまま信じると、同じ結果が出ない自分を責めたり、次々に別の商品を試したりすることになりかねません。うまくいかないのは、あなたの努力が足りないからとは限らないのです。

体験談を読むときは、その人の結果よりも、全体の数字を探してみてください。何人が試して、そのうち何人に同じような結果が出たのか。それが書かれていなければ、自分に当てはまるかどうかは判断できません。

消費者庁の報告書でも、体験談を使うなら、こうした割合をはっきり示すべきだという考え方が示されています。

全体の数字が見つからないなら、体験談は「こういう人もいた」という一例として受け止めておくのが安全です。

体験談は、続けるための励ましとして読むくらいがちょうどいいのです。自分の体の変化は、自分の記録で確かめていきましょう。

参考

  • 消費者庁「打消し表示に関する実態調査報告書」(2017年7月)(体験談に添えた打消し表示の効果、体験談を使う場合に示すべき被験者の数や効果が得られた人の割合) — 消費者庁
  • 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(2022年12月一部改定)(「個人の感想です」などと表示しても誇大な表示かどうかの判断に影響しないこと、都合の良い体験談だけを引用する表示) — 消費者庁