痩せると脂肪細胞は消える?

体重計の数字を見て喜ぶタクさん

体重が減って、ズボンがゆるくなった。「これで脂肪とはお別れだ」と思いたくなる瞬間です。お腹にいた脂肪細胞も、きれいさっぱり消えてくれた。そう信じたいところです。

けれど残念ながら、脂肪細胞は痩せてもいなくなりません。

痩せた分だけ、細胞は「しぼむ」

大人の体にある脂肪細胞の数は、太っても痩せても、ほとんど変わらないことが分かっています。痩せるときに起きているのは、一つひとつの細胞の中身が減って、小さくしぼんでいくことです。

2008年に発表された研究では、大きく減量した人でも、脂肪細胞の数は減っていませんでした。細胞は毎年1割ほどが新しく入れ替わりますが、全体の数はほぼ一定に保たれているのです。

ふくらんだ細胞としぼんだ細胞の比較(数は同じまま)

しぼんだ細胞が、お腹を空かせる

脂肪細胞は、ただ脂肪をためているだけではありません。食欲を抑えるホルモン(レプチン)を出す役目も持っています。

細胞が小さくなると、このホルモンも減ります。すると体は「エネルギーが足りない」と受け取り、お腹が空きやすくなります。痩せた後に体重が戻りやすいのは、意志が弱いからではなく、こうした体の仕組みがあるからなのです。

細胞は残っても、中身は小さく保てる

だからといって、あきらめる必要はありません。細胞の数が残っていても、中身を小さく保つことはできます。

大切なのは、痩せた後に元の食生活へ一気に戻さないこと。お腹が空きやすくなるのは体の自然な反応だと知っていれば、慌てずに付き合えます。ゴールは「痩せた日」ではなく、その体重で暮らし続けることにあるのです。

参考

  • Spalding KL, Arner E, Westermark PO, et al., Dynamics of fat cell turnover in humans, Nature, 2008;453(7196):783-787(大人の脂肪細胞の数、減量しても数が変わらないこと、毎年約1割が入れ替わること) — PubMed
  • Sumithran P, Prendergast LA, Delbridge EA, et al., Long-term persistence of hormonal adaptations to weight loss, New England Journal of Medicine, 2011;365(17):1597-1604(減量後にレプチンが減り、空腹感が増えること) — PubMed