体温を1℃上げれば、代謝が13%上がる?

体温計を見るタエコさん

「体温が1℃上がると、代謝は13%上がる」。そう聞いて、朝は白湯、夜は湯船、お腹には腹巻きと、毎日の温活に励んでいる人もいるのではないでしょうか。平熱が上がれば、そのぶん痩せやすくなると考えるのは自然なことです。

けれど、この数字は、もとは熱が出たときの体の様子を表したものです。数字そのものは確かですが、平熱を上げて痩せるための数字ではありません。

「13%」は、熱が出たときの数字

熱が出たときの体を調べた研究から、体温が1℃上がるごとに、代謝が1割あまり上がることが知られています。「13%」も、この関係に近い数字です。

熱が出るとき、体は自分で体温の目標を高く設定し直し、震えなどで熱を作ります。体温が上がると体の中の化学反応も速まり、エネルギーを多く使うのです。

つまり、この数字が当てはまるのは、主に風邪などで熱が出ている状態です。熱が出ると体がだるく、ぐったりするように、体にとっては負担の大きい状態でもあります。これを健康な人の平熱にそのまま当てはめると、話が少しずれてしまうのです。

平熱は、体がしっかり守っている

健康な人の体の中心の温度は、脳にある体温調節の仕組みによって、ほぼ一定に保たれています。暑ければ汗をかき、皮膚の血管を広げて熱を逃がす。寒ければ血管を縮めて、熱を逃がさないようにします。

温かい飲み物やお風呂で体が温まっても、体はすぐに余分な熱を逃がし、元の温度に戻そうとします。お風呂上がりにしばらくたってから測れば、体温計はいつもの数字に戻っているはずです。外から温めて、平熱そのものを1℃上げたまま保つことは、体の仕組みからみて難しいのです。

もう一つ、順番にも目を向けてみてください。運動すると体が熱くなるのは、エネルギーを使った結果として熱が生まれるからです。外から温まることは、エネルギーを使ったことにはなりません。

温かさを、体を動かすきっかけに

体を温めること自体は、悪いことではありません。ゆっくり湯船につかると気持ちがほぐれ、寒い朝も温かい飲み物があれば動き出しやすくなります。ポカポカする心地よさは、本物です。

ただ、使うエネルギーを増やしたいなら、体温計の数字よりも、体を動かす時間に目を向けましょう。温まった体で散歩に出たり、ひと駅分歩いたりすれば、その分のエネルギーは確実に使われます。

温かいお茶でひと息ついたら、少し体を動かしてみる。温活と体を動かす習慣を組み合わせれば、心地よさも手応えも、両方が手に入ります。

参考

  • Evans SS, Repasky EA, Fisher DT, Fever and the thermal regulation of immunity: the immune system feels the heat, Nat Rev Immunol, 2015;15(6):335-349(熱が出たとき、体温を1℃上げるには代謝を10〜12.5%高める必要があること) — PubMed
  • Osilla EV, Marsidi JL, Shumway KR, Sharma S, Physiology, Temperature Regulation, StatPearls, 2023年7月更新(脳による体温の調節、発熱時の設定温度の上昇) — NCBI Bookshelf