年を取ったら、運動しても痩せない?

ジムで軽いトレーニングをするタエコさん

若いころは、少し走ればすぐに体が締まった。ところが50代になって同じように運動しても、体重計の数字はなかなか動かない。「もう年だから、何をしても無駄なのかな」と感じている人もいるかもしれません。

けれど、年を取ったから体が運動に応えなくなる、ということはありません。何歳からでも、体は動かした分だけ変わります。

90歳でも、筋肉は応えてくれる

年を重ねると、筋肉が落ちやすくなるのは事実です。ただ、落ちやすいことと、増やせないことは別の話です。

施設で暮らす平均90歳の人たちが、8週間の筋力トレーニングに取り組んだという研究があります。脚の筋力は大きく伸び、太ももの筋肉も太くなったと報告されています。

鍛えれば応えてくれる仕組みは、何歳になってもちゃんと残っているのです。50代や60代なら、なおさらです。

痩せるときこそ、運動が効いてくる

65歳以上で肥満のある人たちが、食事の見直しに運動を組み合わせた研究もあります。半年で体重は1割近く減り、日常の動作をこなす力も高まりました。

さらに、筋トレを含むグループでは、有酸素運動だけのグループよりも筋肉などの減り方が小さく抑えられていました。食事を減らして痩せようとすると、脂肪と一緒に筋肉も落ちやすくなります。運動は、その目減りを防ぐ役目を果たしているのです。

年を取ってからの減量は、ただ軽くなればよいわけではありません。動ける体を保ったまま痩せるために、運動はむしろ欠かせない相棒です。

体重計より先に、体が変わり始める

運動を始めても体重がすぐに動かないのは、年齢のせいとは限りません。運動だけで使えるエネルギーは、若い人でもそれほど大きくないからです。体重を落とすなら、食事の見直しと組み合わせるのが近道です。

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、高齢者にも筋力トレーニングを週2〜3日行うことを勧めています。いすからの立ち上がりや、壁に手をついての腕立て伏せなど、自宅でできる動きからで十分です。持病がある人や、長く運動から離れていた人は、始める前に医師に相談しておくと安心です。

階段が楽になった、ズボンの腰回りがゆるくなった。体重計より先に表れるそうした変化こそ、体が応えているしるしです。一つずつ、手応えとして数えていきましょう。

参考

  • Fiatarone MA, Marks EC, Ryan ND, Meredith CN, Lipsitz LA, Evans WJ, High-intensity strength training in nonagenarians. Effects on skeletal muscle, JAMA, 1990;263(22):3029-3034 — PubMed
  • Villareal DT, Aguirre L, Gurney AB, et al., Aerobic or resistance exercise, or both, in dieting obese older adults, New England Journal of Medicine, 2017;376(20):1943-1955 — PubMed
  • 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(2024年1月)(高齢者の筋力トレーニングは週2〜3日、自重を使った筋力トレーニングの例) — 厚生労働省