店の棚で「機能性表示食品」の文字を見ると、なんとなく安心して手に取ってしまいます。国の制度の名前が付いているのだから、国が効き目を確かめてくれたのだろう。そう考えている人は多いのではないでしょうか。
けれど、機能性表示食品は、国が効果を審査して認めたものではありません。
根拠を届け出たのは、国ではなく事業者
機能性表示食品は、2015年に始まった制度です。食品を売る事業者が、自らの責任で科学的な根拠をそろえ、販売の前に消費者庁へ届け出ます。
国は届け出を受け付け、その内容を公開します。けれど、一つひとつの商品に本当に効き目があるかを、国が審査しているわけではありません。
名前に「機能性」と付き、届出番号まで書かれている。国のお墨付きに見えるのも無理はありません。実は、パッケージには「特定保健用食品と異なり、機能性及び安全性について国による評価を受けたものではありません」という一文が書かれています。
トクホは「許可」、こちらは「届け出」
よく似たものに「特定保健用食品(トクホ)」があります。こちらは、国が商品ごとに効き目や安全性を審査し、表示を許可したものです。パッケージには、国の許可を示すマークも付いています。
どちらも体への働きを表示できる食品ですが、国の関わり方はまったく違います。トクホは、国が審査して「許可」したもの。機能性表示食品は、事業者が自らの責任で「届け出」たものです。

売り出したあとに、国が表示や広告を確かめることはあります。2017年には、機能性表示食品を売る16社に、消費者庁が景品表示法に基づく措置命令を出しています。とるだけで誰でも簡単に、見た目でわかるほどお腹が痩せるかのような広告をしていたためです。
届け出の中身は、自分で確かめられる
国が効果を保証していると思い込んだままだと、少し高い値段も「効くのだから」と納得して、何年も買い続けてしまうかもしれません。選ぶ前に、ひと手間かけてみる価値はあります。
届け出の内容は、消費者庁のウェブサイトで誰でも見ることができます。パッケージの届出番号で調べれば、どんな人を対象に、どれくらいの期間、どんな試験をしたのかが分かります。
たとえば、対象が「BMIが高めの方」なら、自分が当てはまるかを確かめられます。1日にとる目安の量も、期待できることを知る手がかりになります。
「国の制度だから安心」ではなく、「誰が、何を根拠に言っているのか」を知って選ぶ。それだけで、広告の言葉に振り回されることはずっと少なくなります。
参考
- 消費者庁「機能性表示食品について」(事業者が自らの責任で販売前に届け出る制度で、国は審査しないこと、届出情報の公開・検索) — 消費者庁
- 消費者庁「特定保健用食品について」(商品ごとに国が有効性・安全性を審査し、表示を許可する制度、許可マーク) — 消費者庁
- 消費者庁「食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)」(2026年10月改正時点)(機能性表示食品の容器包装に記載が必要な「本品は、特定保健用食品と異なり、機能性及び安全性について国による評価を受けたものではありません。」の文言、1日当たりの摂取目安量の表示) — 消費者庁
- 消費者庁「…機能性表示食品の販売事業者16社に対する景品表示法に基づく措置命令について」(2017年11月)(とるだけで誰でも容易に、見た目でわかるほどお腹が痩せるかのような表示に、合理的な根拠が認められなかったこと) — 消費者庁(保存版)
