血液検査の中性脂肪は、体の脂肪の量?

血液検査の結果を見るタエコさん

健康診断の結果で、中性脂肪の欄にだけ印がついていた。「この数字は、体にたまった脂肪の量なんだろう」と、思わずお腹をさすった人もいるかもしれません。

けれど、血液検査の中性脂肪は、体の脂肪の量そのものではありません。血液の中を流れている脂肪の量を測った値なのです。

倉庫の在庫と、トラックの荷物

体の脂肪の大部分は、中性脂肪という形で脂肪細胞にためられています。名前が同じなので、血液検査の数字も体の脂肪の量だと思ってしまいやすいのです。

中性脂肪は、体の大切なエネルギー源です。食事でとった脂肪や、肝臓でつくられた中性脂肪が血液に乗って運ばれ、筋肉などで使われたり、脂肪細胞にしまわれたりします。血液検査で測っているのは、この運ばれている途中の中性脂肪です。

体の脂肪が倉庫にしまわれた在庫なら、血液の中性脂肪は、道路を走るトラックの荷物のようなものです。体の脂肪が何kgという単位でたまっているのに比べて、血液の中を流れている量はごくわずかです。

前の晩のお酒で、数字が変わる

血液の中性脂肪は、食事やお酒の影響を受けて、短い時間で上がったり下がったりします。食後には高くなるため、健診では基本的に、食事を抜いた空腹の状態で採血します。健診の案内に、前の晩から食事を控えるよう書かれているのは、このためでもあります。

前の晩にお酒を飲んだり、甘いものや脂っこいものを多く食べたりすると、翌朝の数字が高めに出ることがあります。体の脂肪は一晩でそれほど増えないので、ここでも二つは別ものだと分かります。

痩せている人でも、お酒をよく飲む人などでは、中性脂肪が高くなることがあります。反対に、太っていても正常な値の人もいます。この数字だけで、体の脂肪の多い少ないを決めつけることはできないのです。

それでも、お腹の脂肪とは無関係ではない

ただし、二つがまったく無関係というわけではありません。内臓脂肪が多いと、肝臓で中性脂肪がつくられやすくなり、血液検査の値も高くなりやすいことが知られています。

中性脂肪の高い状態が続くと、動脈硬化を進める要因の一つになります。食べ過ぎとお酒を見直し、体を動かす習慣をつくることは、血液の数字にもお腹の脂肪にも効いてきます。とくにお酒は、量を控えると数字が下がりやすいものの一つです。

一度の数字に一喜一憂せず、毎年の値の流れを見ることも大切です。高い値が続くときは、自己判断せず、医療機関で相談してみてください。

参考

  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「中性脂肪 / トリグリセリド」(2024年7月更新)(体の脂肪の大部分が中性脂肪であること、健診での基準値) — 厚生労働省 e-ヘルスネット
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「アルコールとメタボリックシンドローム」(2022年10月更新)(飲酒で中性脂肪が増えること) — 厚生労働省 e-ヘルスネット
  • 日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」(2022年7月)(採血の条件、食事や前日夜の飲酒の影響、肥満で肝臓での中性脂肪の合成が増える仕組み、高トリグリセライド血症と動脈硬化性疾患の関係) — 日本動脈硬化学会