「ほとんど食べていないのに痩せない」の正体は?

少ない食事をスマホで記録するタエコさん

朝はコーヒーだけ、昼はおにぎり1個、夜もご飯は控えめ。これだけ我慢しているのに体重が減らないと、「自分は特別に痩せにくい体なのでは」と思えてきます。

けれど、その「ほとんど食べていない」は、実際に口にした量とずれていることが少なくありません。

自分で申告した量は、実際の半分ほどだった

食事を減らしても痩せないと悩む人たちを調べた、アメリカの研究があります。参加者は皆、1日1,200kcal以下しか食べていないと申告していました。

ところが、特殊な方法で消費エネルギーを測り、実際に食べた量を割り出すと、半分近くが申告から抜け落ちていました。運動量のほうは、実際より5割ほど多く申告していたのです。

一方で、参加者の代謝には、特に異常は見つからなかったと報告されています。

嘘ではなく、数え忘れ

これは、参加者が嘘をついていたという話ではありません。人はもともと、食べた量を少なく見積もりやすいのです。

料理中の味見、もらったお菓子のひとかけら、晩酌のおつまみ、甘い缶コーヒー。一つひとつは「食べた」うちに入らない気がして、記憶に残りにくいものです。テレビを見ながらの「ながら食べ」なら、なおさらです。

「控えめ」のつもりの一杯が、思ったより大盛りになっていることもあります。目分量のままでは、どうしても自分に甘い数字になりがちです。

それでも、体のせいのこともある

もちろん、本当に食べる量が少ないのに、体重が増えやすい人もいます。甲状腺の働きが弱くなる病気や、一部の薬の影響で、体重が増えることがあるからです。

記録しても食べる量は本当に少ないのに体重が増えていく、むくみやだるさが続く、といった場合は、医師に相談してください。薬を飲んでいる人は、自己判断でやめずに、医師や薬剤師に確かめることが大切です。

まず3日、全部書き出してみる

正体を知るいちばんの近道は、記録です。飲み物やひと口も含めて、口に入れたものを3日間、全部書き出してみてください。スマートフォンで写真を撮っておくだけでも十分です。

記録は、自分を責めるためのものではありません。食べたものをこまめに書き留めていた人ほど、体重が減りやすかったという研究もあります。

見えていなかった数口が見つかれば、それを減らすだけで、我慢を増やさずに体重が動き出すこともあります。減らすのは、いちばん惜しくないものからで構いません。

参考

  • Lichtman SW, Pisarska K, Berman ER, et al., Discrepancy between self-reported and actual caloric intake and exercise in obese subjects, New England Journal of Medicine, 1992;327(27):1893-1898 — PubMed
  • Burke LE, Wang J, Sevick MA, Self-monitoring in weight loss: a systematic review of the literature, Journal of the American Dietetic Association, 2011;111(1):92-102 — PubMed
  • 米国国立糖尿病・消化器・腎臓病研究所(NIDDK)「Factors Affecting Weight & Health」(2023年5月)(甲状腺の病気や一部の薬による体重増加) — NIDDK
  • 米国国立糖尿病・消化器・腎臓病研究所(NIDDK)「Hypothyroidism (Underactive Thyroid)」(2021年3月)(甲状腺機能低下症の主な症状) — NIDDK