お酒は「エンプティカロリー」だから太らない?

ジョッキで乾杯するタクさん

「お酒はエンプティカロリーだから、飲んでも太らないんだよ」。飲み会の席で、得意げにこう話す人がいます。なるほどと思って、もう一杯頼んだ経験はないでしょうか。

けれど、この「エンプティ」は「カロリーがない」という意味ではありません。

空っぽなのは、カロリーではなく栄養

エンプティカロリーとは、「エネルギーはあるのに、ビタミンやミネラルなどの栄養がほとんどない」という意味の言葉です。空っぽなのは栄養のほうで、カロリーはしっかり入っています。

アルコールは1gあたり約7kcal。糖質やたんぱく質(約4kcal)より多く、脂質(約9kcal)に近いエネルギーを持っています。ビールなら中瓶1本(500ml)で約200kcal、日本酒なら1合で約190kcalほどです。

「すぐに燃えるから大丈夫」も早とちり

「お酒のカロリーは体がすぐに使うから、たまらない」という話もよく聞きます。確かに、体はアルコールの処理を優先します。

けれどその間、食事でとった脂肪や糖は後回しにされ、使われなかった分がたまりやすくなります。順番が入れ替わるだけで、お酒のエネルギーは、しっかり1日の差し引きに入ってくるのです。

楽しむなら、量を知っておく

お酒を楽しむこと自体が悪いわけではありません。大切なのは、「お酒にもしっかりエネルギーがある」と知ったうえで、自分がどれだけ飲んでいるかをつかんでおくことです。

「今日は何杯まで」と、飲み始める前に決めておく。それだけでも、なんとなくグラスを重ねるのとは、ずいぶん違ってきます。

参考

  • 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(2023年4月)(アルコール・糖質・たんぱく質・脂質の1gあたりのエネルギー、ビール〈淡色〉・清酒〈普通酒〉のエネルギー) — 文部科学省
  • Shelmet JJ, Reichard GA, Skutches CL, et al., Ethanol causes acute inhibition of carbohydrate, fat, and protein oxidation and insulin resistance, Journal of Clinical Investigation, 1988;81(4):1137-1145(アルコールが優先して使われ、脂肪や糖の利用が抑えられること) — PubMed
  • Suter PM, Schutz Y, Jequier E, The effect of ethanol on fat storage in healthy subjects, New England Journal of Medicine, 1992;326(15):983-987(飲酒中は脂肪の燃焼が減り、たまりやすくなること) — PubMed