来月の同窓会までに、何としても5kg落としたい。そう思い立って、朝は抜き、昼はサラダだけ、夜もいつもの半分に。食べる量を減らせば減らすほど脂肪も早く落ちるはずだと考えるのは、自然なことかもしれません。
けれど、食事を極端に減らすと、落ちていくのは脂肪だけではありません。しかも、その速さは長く続かないのです。
体重計の数字には、筋肉も混じっている
食事を大きく減らせば、体重は確かに早く落ちます。その点は間違いではありません。ただ、減っていくものの中には、筋肉も含まれます。
エネルギーが大きく足りない状態が続くと、体は筋肉のたんぱく質も分解して、足りない分を補おうとします。たんぱく質が足りず、体もあまり動かさないまま食事を減らすと、なおさらです。
筋肉が減れば、体が1日に使うエネルギーも減ります。体重は軽くなったのに、エネルギーを使いにくい体に近づいてしまうのです。体重計の数字が早く減っても、その中身まで喜べるとは限りません。
半年の食事制限で、頭の中は食べ物でいっぱいに
第二次世界大戦の頃、アメリカで、健康な男性たちに半年ほど、食事を大きく減らした生活を送ってもらった研究があります。体重は大きく減りましたが、体が使うエネルギーも大きく落ちていきました。
参加者は、食べ物のことばかり考えるようになり、気分も落ち込みがちになりました。制限が終わると、食べる量が止まらなくなる人も出たと記録されています。極端な制限は、体だけでなく心にも、元に戻ろうとする力を生むのです。
ゆっくり減らすほうが、結局は近道
肥満症の治療でも、まずは3〜6か月で、今の体重の3%以上を減らすことが目標とされています。体重80kgの人なら、約2.4kgです。物足りなく感じるかもしれませんが、このくらいの速さのほうが、無理なく続けやすいのです。
食事は、毎食のご飯を少し減らす、間食を一つやめる、といった小さな引き算から始めます。肉や魚、卵、大豆製品などのたんぱく質は、毎食きちんととる。歩く、軽い筋トレをするなど、体を動かす習慣を足せば、筋肉も保ちやすくなります。
体重は、日々の上下に一喜一憂せず、週ごとの流れで見ていきます。同窓会には間に合わなくても、続けていれば、半年後、1年後の体は少しずつ変わっていきます。
なお、持病がある方や薬を飲んでいる方は、食事を大きく変える前に、主治医に相談してください。
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参考
- 日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」第5章「肥満症の治療と管理」(2022年12月)(肥満症の減量目標:3〜6か月で現体重の3%以上) — 日本肥満学会
- Kalm LM, Semba RD, They starved so that others be better fed: remembering Ancel Keys and the Minnesota experiment, Journal of Nutrition, 2005;135(6):1347-1352(いわゆるミネソタ飢餓実験) — PubMed
- Dulloo AG, Jacquet J, Adaptive reduction in basal metabolic rate in response to food deprivation in humans: a role for feedback signals from fat stores, American Journal of Clinical Nutrition, 1998;68(3):599-606(同じ実験で、食事制限中に体が使うエネルギーが落ちたこと) — PubMed
- Dulloo AG, Jacquet J, Girardier L, Poststarvation hyperphagia and body fat overshooting in humans: a role for feedback signals from lean and fat tissues, American Journal of Clinical Nutrition, 1997;65(3):717-723(同じ実験で、制限が終わった後に食べる量が増えたこと) — PubMed
